徳島市

多々羅川左岸、丘陵尾根をカットして築かれた前方後円墳で、富田茶臼山古墳（さぬき市）に次いで2番目の墳丘規模を誇ります。当古墳、天王の森古墳、新宮塚古墳、マンジョ塚２号墳など数基で渋野古墳群を形成します。 　墳丘規模は、全長118ｍ、墳丘長105ｍ、後円部径69ｍ、高さ18ｍ、前方部幅59ｍ、高さ16ｍ、くびれ部幅44ｍを測り、葺石、埴輪、段築、造出、周溝を備えます。埋葬施設は、レーダー調査において石室らしき反応が確認されている。 　出土遺物は、円筒埴輪、朝顔形埴輪、形象埴輪（家・盾・蓋・甲冑・舟）、土師器が出土。造出からは、小型壺などが出土する。築造年代は、5世紀中葉と推定され、この後より阿波地域では前方後円墳が築かれなくなります。

多々羅川の左岸、丘陵先端部に位置する古墳で、墳丘上に新宮神社が鎮座している。当古墳、天王の森古墳、丸山古墳、マンジョ塚２号墳など数基で渋野古墳群を形成します。 　墳丘規模は径12m、高さ2mほどの円墳で、もとは径20ｍと考えられている。埋葬施設は、緑泥片岩の箱式石棺が確認されており、長さ1.79ｍ、幅0.75ｍ、高さ0.66ｍを測ります。 　出土遺物は、勾玉文鏡、直刀、鉄剣、鉄鏃、多くの玉類が出土。築造年代は、5世紀前半と推定される。

渋野町学頭、渋野八幡神社の西側丘陵麓に位置する古墳で、当古墳、新宮塚古墳、丸山古墳、マンジョ塚２号墳など数基で渋野古墳群を形成します。 　墳丘は径23ｍほどの円墳で、周囲を石垣によって保護されています。埋葬施設は不明だが、墳頂にある社殿建設の際に天井石が確認されたと伝っている。鳥居の下には、白い標柱が立っています。

気延山(標高213.3m)から東方向に延びる尾根先端部に位置する古式の前方後円墳で、前方部を平野部に向けています。西側の同丘陵上には、天石門別八倉比賣神社が鎮座しています。八倉比売神社古墳群、奥谷古墳群、城山神社古墳群、矢野の古墳、当古墳群とで「気延山古墳群」と総称される。 　墳丘規模は、全長37.5m、後円部径25m、高さ3m、くびれ部幅8.5ｍ、前方部長12.5m、幅17ｍを測ります。墳形は、後円部に対して前方部の比率が若干小さくなっており、若干の湾曲を持って開いている。前方部墳頂部は平坦で、後円部とは段差が付けられています。また、墳丘には段築、葺石を備えていました。 　埋葬施設は、主軸と並行して東西方向に造られており、全長5.95ｍほどの竪穴式石室に刳抜式割竹型木棺が納められていました。出土遺物は、前方部先端部から3面の三角縁神獣鏡が出土。石室から重圏文鏡、玉類、鉄剣、鉄斧、鉄鑿、ヤリガンナが出土。くびれ部から前方部裾部にかけて、二重口縁壺が出土しています。築造年代は、3世紀末～4世紀初頭と推定される。

気延山(標高213.3m)から東方向に延びる尾根先端部の南斜面に位置する円墳です。現在は、阿波史跡公園の一角となっており、古墳のすぐ側まで歩道が整備されている。南の丘陵尾根上には、前方後方墳の奥谷1号墳が分布しています。八倉比売神社古墳群、奥谷古墳群、城山神社古墳群、宮谷古墳、当古墳群とで「気延山古墳群」と総称される。 　墳丘規模は径17.5ｍほどの円墳で、円筒埴輪が立てられていたようです。埋葬施設は、南に開口する両袖式の横穴石室で複室構造を成し、長方形の平面プランに奥壁に1枚岩を据えている。石室規模は全長約11.5m、玄室長3.8m、 幅2.65m、高さ2.68m、前室長3.8m、玄門幅2.2m、 前門幅1,4m、 高さ2.25mを測ります。調査時に、石室の開口部に転落していた羨道部天井石は、説明板北側にある小さな広場に移設されています。 　出土遺物は、金環、ガラス小玉、鉄製品、土師器、須恵器、円筒埴輪が出土。築造年代は、7世紀初頭と推定され、7世紀中頃まで追葬が行われたと考えられている。

気延山の東麓、奥谷古墳群から南東方向に舌状に延びた丘陵頂部に分布する古墳群です。当丘陵自体は、戦国時代矢野氏の居城として知られる矢野城跡となっており、石碑が建てられています。八倉比売神社古墳群、奥谷古墳群、矢野古墳、宮谷古墳、当古墳群とで「気延山古墳群」と総称される。 　そのうち2号墳は、昭和63年度の史跡公園園路敷設工事の確認調査が行われた際に、横穴式石室の主体部とする古墳であることが確認されました。築造年代は、出土した須恵器から6世紀後半と推定される。

気延山の東側中腹に分布する古墳群で、前方後方墳1基と突出部の付いた円墳1基の2基から構成される。八倉比売神社古墳群、城山神社古墳群、矢野の古墳、宮谷古墳、当古墳群とで「気延山古墳群」と総称される。 　東側尾根先端部に位置する1号墳は、墳長50mほど前方後方墳で緑泥片岩の葺石が認められます。埋葬施設は、後円部中央に盗掘の跡が確認されているが不明。また、前方部には、長さ1.2ｍほど箱式石棺が認められています。出土遺物は、円筒埴輪が出土。築造年代は、4世紀後半と推定される。 　1号墳の西側高所に位置する2号墳は、径12ｍほどの円墳に長さ7.2ｍ、幅2.7ｍの突出部が付きます。埋葬施設は、後円部に2基の竪穴式石室、くびれ部に箱式石棺が確認されています。出土遺物は、鉄鉾、土器が出土。築造年代は、4世紀中頃と推定される。

徳島市の西端、気延山の山塊から南へ派生した支脈の中腹に位置する古墳群で、2基から構成されます。大日霊尊を主祭神とした延喜式内社とされる八倉比売神社の裏側に残されている。奥谷古墳群、城山神社古墳群、矢の野古墳、宮谷古墳、当古墳群とで「気延山古墳群」と総称される。奥谷2号墳と同じく、当古墳群は「気延山古墳群」のなかで最高所に存在します。 　東にある１号墳は、径35ｍほどの円墳とされ葺石のような外表施設が確認されている。墳丘北西部の一角に、結晶片岩の割石が小口積みされている箇所があり、石積みはその基底部と考えられています。埋葬施設は、不明だが、墳頂部にある結晶片岩の五角形の石積みは、竪穴式石室の石材を転用したものではないかと推測される。西側の2号墳は、一辺20ｍほどの方墳で、竪穴式石室を主体部と考えられています。 　築造年代は、土器等の遺物の採取が行われていないため不明だが、竪穴石室と仮定できれば4世紀代と推定されます。

眉山北麓の谷間に位置する古墳で、名東古墳群に属します。現在、地蔵院境内に所在しています。 　墳丘規模は、径20ｍほどの円墳です。埋葬施設は、南西方向の開口する両袖式の横穴石室で、全長9.3m、玄室部長4.3m、幅2.2m、高さ2m、羨道部長4.3m、幅2m、高さ1.8mを測ります。 　築造年代は、7世紀中頃と推定される。その後、安喰川を挟んだ対岸に阿波国府が置かれることになり、地元豪族である粟氏との関わりが強いと考えられ、当古墳も何らかの関係性が推測されます。

園瀬川南岸、山塊から北東へ細く長く舌状に突出した尾根東側の斜面に分布する古墳群で、2基の円墳から成ります。南東500ｍほどの所には、弥生時代終末期の竪穴住居跡や奈良時代の掘立柱建物跡などが見つかっている樋口遺跡があります。 　墳丘規模は、ともに径20ｍほどの円墳で、横穴式石室を主体部とします。1号墳は、南に開口する両袖式の横穴石室で、側壁に結晶片岩の割石を積み、わずかに持ち送っています。2号墳は、1号墳の南側40ｍほどの所に位置し、片袖式の横穴石室となります。

上八万巽山の低丘陵の先端部に位置する円墳で、墳丘は失われている。別名「星河内丸山古墳」とも言われています。 　埋葬施設は、はじめ横穴式石室と考えられていましたが、再度調査が行われ、長さ６m、幅2.3m、深さ1.2mの竪穴式石室と判明しました。石室からは、多量の朱が確認されている。 　出土遺物は、唐草文縁神獣鏡、変形方格鏡、獣帯鏡、直刀、石釧、車輪石、鍬形石が出土。石製品は、いずれも凝灰岩製で、同一のもが存在せず、当被葬者が異なる地域から入手したものと推測される。築造年代は、4世紀代と推定。

多々羅川の流れる北側丘陵から南北に突き出た尾根上に位置する古墳で、現在、尾根丘陵は道路によって分断される。すぐ南側の尾根先端部には、マンジョ塚古墳が分布していました。 　墳丘は、径20ｍほどの円墳とされ、地形測量から東側を除く斜面に等高線間隔のやや広いところが見られており、ここを墳丘の裾部とすると、径35mほどの円墳とすることも可能となる。埋葬施設は、東西方向を主軸とする竪穴式石室とされ、蓋石の一部検出し、小礫層が堆積していました。そして、石室の規模からも墳丘の規模は、径35ｍほどの円墳と考えるほうが妥当だとされます。 　出土遺物は、円筒埴輪、朝顔形埴輪、形象埴輪、土師器が出土。築造年代は、古墳時代前期と推定。

とくしま動物園に西側丘陵上に位置する石積みの経塚で、古墳の上に築かれているとされます。塚の前には、なかなか趣のある木で建てられた鳥居があります。 　当古墳は、延喜式内社のにある「山方比古神社」と考えられ、「天若日子」を祀っていると伝承されています。